○行政の役割分担の見直しの必要性
  −責任ある行政の実現−


 

我が国の行財政は、700兆円とも1000兆円とも言われる長期債務を抱え、危機的な状況にあります。急激に進む少子高齢化にも歯止めがかかっていません。今後、団塊の世代が定年退職し、高齢化がさらに進んで一層の税収の不足と支出の増大が見込まれています。財政状況の悪化を克服するためには、行政の効率化に併せて、住民に身近な地方自治体が自己決定と自己責任で行政を行う地方分権の確立が重要です。人は、自分のお金、自分の責任であるからお金の使い方について、真剣に考えます。しかし、三位一体改革も不十分な結果に終わり、依然として中央省庁に全てを頼る中央集権制が温存されています。中央省庁に任せてしまい、無責任であるが故に、無駄遣いをしても国からお金をもってくるという発想から抜け出すことができません。

検討が始められた道州制も、単なる都道府県の合体だけに終わると今にもまして権限が錯綜し、無責任で、誰も責任を取らない、最悪の結果になりかねません。そこで当研究所では「補完性の原則に基づいた実務的見地による「市町村と都道府県(道州を含む)と国の役割分担(業務分担)の明確化」を独自の改革プロジェクトとして立ち上げることと致しました。現場の実務から業務分担の明確化を図ることにより地方政府対広域地方政府対中央政府の水平的関係の構築と地方の主権に直結する@国庫補助負担金の廃止A中央集権的な法令の撤廃B道州制の在るべき姿C各政府間における行政費用の算定と税源の配分並びに地方交付税の抜本的改革に結び付けたいと考えています。


○現場からの仕事見直しの重要性

今日の状況では大改革は不可能と思われていますが、その理由は、現場からの発想のない実務者不在の改革論に起因しています。改革の主体要因は現場の実務にあります。錯綜する権限を明確にした業務分担の見直しは国と地方の大幅な行政経費の削減につながります。市町村と都道府県と国の実務者及び実務経験者により我が国の新しい行政構造づくりに挑戦します。尚、当研究の成果は広く世に問うとともに単行本として出版する予定ですが各委員の選択により委員名は公表及び非公表とします。