この度、34年間の地方政治生活の集大成として、「市町村崩壊−破壊と再生のシナリオ」(5月末日発売:株式会社スパイス)を全国出版しました。
私は、埼玉県庁職員をスタートに市議会議員、県議会議員を務め、埼玉県志木市長に就任し、住民自治の実証と地方から国を変えることを目指して、様々な地方改革に取り組んできました。就任時に自らに課した1期4年の任期と在任中に、志木市政の方向性は自分なりに出し尽くすことが出来ましたので本年6月30日をもって勇退しましたが、長い間、地方の現場に参加し、社会環境や経済環境の激変と極度の財政悪化に喘ぐ国と地方の現実を目の当たりにしてきました。今、地方の実態を明らかにして「地方から国を変える」大胆な提案を行い、大改革に挑戦しなければ、この国も、この国を支える地方の将来もないという、実体験に基づく現場からの強い危機感をこの本に託しました。
地方の崩壊は、住民の都市への大量流入を引き起こす危険を伴っています。流入する失業者の大量発生は、治安の悪化のみならず、国民健康保険、生活保護などの福祉的費用の増大に直結し、地方と都市の財政破綻の連鎖を呼びかねません。さらに、都市部は財政力があり、若いまちと言われていますが、国が富裕都市の税源を移譲することに踏み切ったり、高齢化が一気に加速することを考えますと、都市部であっても崩壊の危険が待ち受けています。
この本を通じて様々な語論を呼び、激変する時代環境に即応できる地方の大改革に、国が確かな呼応をしてくれることを心から願っています。
平成17年5月末日